米作りに学ぶこと♪

いま、初めての米作りをさせて頂いている。昨年は田植えや稲刈りの手伝いをさせて頂いたが、今年は場所の選定にはじまって田んぼの準備からほぼすべて自分たちでやってみようということになった。

中心はTANBOcafeの女性2人とボクと男性もう一人。いずれも3.11以降の東京からの移住者で、農業ドシロウト組(汗)。しかもかなり奥まった山あいにある3.5反もの棚田(5枚)で、十数年におよぶ耕作放棄地。女性陣が散歩の過程で見つけてきたひっそりとした聖地のような場所だが、いきなりハードルの高いチャレンジだった。

お世話になっている地元の方の仲介で快く3人の所有者の了解を取り付け、準備を開始したのが3月の半ばから。

何せ十数年におよぶ不耕起の土地なので全体にはびこる枯れ草(主に葦)を集めて燃やすことからスタート。もともと水気の多い土地で、場所によってはくるぶしまでぬかるんで歩くのが困難を極めた。

さらに大変だったのが水路の確保。米作りでも重要なのが水の管理。新鮮な水を一面に張り、給水・排水が自在に管理できなければならない。ここでは山から天然の湧き水が流れてくる沢をそのまま活用できる、かなり恵まれた環境にある。しかしながら長年の不使用によって水路のほぼすべてが土砂で埋まってしまっていた(汗)。

しかも水の取り入れ口が300mも上流の沢からであることが判明。田んぼの脇を蛇行しながらおそらく400mは土砂を掘り出していかなければならないし、幅30cmの水路の途中々々には鬱蒼とした草木が覆いかぶさり、これら全ても切り開いていかなくてはならない(大汗)。カマとクワとシャベルがすっかり馴染みの道具になった。

なお悪いことに、この時期はボクの事情があって男手は週末しか手伝えず、6月の田植えまでのスケジュールを考えると、平日に女性陣にがんばってもらわねばならず、竹のバリケード製作につづいてますます肉体労働者たる資質に磨きがかけられていった。

約1ヶ月におよぶ土木手作業の末にすべての水路が開通した喜びも束の間、新たな問題が発生。沢の水の取り入れ口が水位よりも40cmほど高い位置にあったのだ。以前、この沢には常に豊かな水があふれ、この高さで十分だった。しかし、1o年以上前に始まった九州新幹線のトンネル工事にともなって、このあたりの山々の水脈が乱れ、水量が一気に減ったのだった。耕作放棄されたのにはこうした事情もあったに違いない。

もっとも、高齢の土地の所有者は「がんばれば今でも米は作れる」と断言してくれたのだった。水量は減っても水は確実に流れてくる。給水口のちょっと先に十分な高さの堰(ダム)をつくって給水口まで水が溜まるようにすればよい・・・言うのは簡単だが、結果的に自分たちで100個の土嚢(どのう)を用意し、また沢に転がる岩を有効に活用して、様々な試練を経て(苦笑)いまでは水量や流れに応じて自在に堰をつくれるようになった(自慢)。

堰を積み上げ、田植えを数日後に控えたある日、それまで日照り続きだったので、昨年見た地域の伝統保存会による”雨乞い踊り”を思い出して冗談半分でやってみたら、翌日に大雨が降った(笑)。

おかげで水位が充分に上がり、水路には水が流れ、5枚の田んぼは一挙に水で満たされた。こうして完璧なタイミングで田植えができた。

ところがここにきて新たな問題が発生!

度重なる大雨によって沢の水が急増したのはよかったが、濁流となった水は山から大量の土砂も運んできていた。堰は無惨にも決壊しており、沢の底は大量の土砂で埋め尽くされていた。しかし水量は充分であるにもかかわらず、水路には水が流れていない・・・なんと給水管のなかに土砂が侵入し、すっかり詰まってしまったのだった。

この給水管は軽トラ一台が通る道路の下を斜めに突っ切って、反対側の水路につながっている。長さはおそらく4m。近くにあった竹の棒で中を突くと2mも行かないところに土砂の壁の手応えを感じる。沢の幅はおよそ1.5m程度なので斜めから細めのしなやかな竹であれば3mの棒で突くことが可能だ。

太い方を先端にして何度も突くが、いっこうに埒があかない。30分程格闘したが体力が尽きて、方法を改めることにした。ここしばらくは雨続きなので田んぼの水は心配なかった。しかし数日晴天がつづくようになると水は干上がってしまうだろう。それまでになんとか解決して水を通さなくてはならない。

こうして鹿児島県知事選を迎えた7月8日、その投票結果に意気消沈して、知人に電話報告した。そしてなぜか同じ電話で憂鬱な給水口の案件についても報告した。すると予期せぬ素晴らしい答えが返ってきた。

「太い方で突いてはいけないな。それだとかえって圧力を与えて土砂を固くしてしまうことになるね。一番いいのは細くて固い鉄の棒だけど、なければ竹でも細い方の先端を尖らせて何度でも突けば、次第に小さな穴が土砂をほぐしてついには水と一緒になって崩すことになる。いま君が経験していることは、ちゃんと意味があってこのタイミングで起こっているんじゃないかな」

なるほど! 

これは脱原発をめぐる社会状況とその取り組み方そのものではないか!

翌日、ボクは志しをもって給水口に向かった(笑)

細い竹の先端を竹槍のごとく尖らせ、鉄の意志をもって何度も何度も何度も突いた。堰を新たに作って大量の水も浸透させ、懸念していた土砂は打ち砕かれ、あっけなく水は水路に満ちた。

有り難う♪

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