細川護煕元首相の意志を絶やさずに

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どうやら熊本日日新聞の読者欄への投書がボツになったようなのでタイミングを逸しましたがここに掲載させていただきます。

今回の都知事選は脱原発派の負けとかそういうことではなく、日本における選挙制度の限界(組織票=権力による数の論理)を端的に示したのだと思います。よってこの手法に依拠した民主主義という幻想にもはや頼るのではなく、これからは私たち一人一人が、日々の暮らしにおいて、自立的に生きる努力を積み上げていくことにシフトしていきましょう、これからは政治の問題としてではなく、生き方の問題として実践的に各自が問うていきましょう、そんな呼びかけのつもりで投書したものです。

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「災いを転じて福と成すという言葉がありますが、大震災、原発事故は日本を変え、東京を変えるまたとない機会にしなければなりません」

3.11後まもなく東京を離れ帰熊した私は、細川護煕元首相が都知事選の出馬表明の際に語った言葉に深く共感し、この選挙の行方に注目していました。

「今の国の目指している方向、その進め方になにかと危ういものを感じている」

「腹一杯ではなく、腹7分目の豊かさでよしとする、心豊かな幸せを感じ取れる、成熟社会への転換を図っていくことが求められている」

30年近く住み慣れた東京での生活や事業をやめて、私が故郷の地域社会で環境保全と自然農に関する公益活動を始めたのは、細川氏と同じ危機感と思いがすでにあってのことです。その危機感も思いも年々強まるばかりですが、ここにきて影響力のある、しかも熊本ゆかりの方が、世界も注目した公の場でとても心強いメッセージを発信して頂いたことに今も感謝しています。

残念ながら選挙では負けましたが、今回大切なことは、彼の連日の都内での選挙演説が毎回大多数の聴衆をひきつけ、有志によるインターネット中継も都民に限らず全国的に注視されるような、たいへん熱気あるものだったという現実です。

すでにタネは蒔かれました。これからこのタネを育てていくのは、都民のみならず日本に生きる私たち一人一人ではないでしょうか。

いみじくも選挙後の記者会見で細川氏が締めくくられたように「脱原発はイデオロギーの問題ではありません。まさに今を生きる人たちの覚悟の問題だと思っております」

了。